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地域ブランディング

2021/08/31

地域ブランディング

地域ブランディングって、そもそも何? どうやってブランドかするの?見せるの?

という広報担当者にある事例をご紹介します。

 

【奈良県明日香村への地方創生企画プレゼンについて】

 

 

地域ブランディングの前に、その土地の、その地域の本質的な価値を見つける作業から入ります

今回の事例は奈良県の明日香村さんです。

 

ウィキペディアで明日香村を検索すると

明日香村(あすかむら)は、奈良県の中央部付近に位置するである。

中央集権律令国家の誕生の地であることから飛鳥時代の宮殿や史跡が多く発掘されていることで知られ、

「日本人の心の故郷」とも紹介されると載っています。

 

明日香村のイメージ写真

 

日本人の心の故郷、というぐらいですので、

実際に行ってみると確かに時代がタイムスリップしたような地域です。

 

田園や棚田が広がる景色は心を落ち着け、石舞台古墳や岡寺をはじめ歴史資産も多数あり、

2024年には世界遺産に登録されようとしている素晴らしい地域です。

Wikiにも「心の故郷」と掲載されているぐらいですので、この“故郷感”が本質的な価値なのでしょうか?

 

明日香村の棚田

 

そう考えて、私たちクリエイティブチームは現地に足を運びました。

現地にいって様々なスポットを実際に足で歩き、またそこにいる観光客、犬の散歩をする地元の方、

サイクリングをしている外国人、若者グループ、喫茶店で話込む老夫婦、お店の店員さん等々

いろんな方を観察します。

 

明日香村の路地

 

 

そして、その人たちがこの地域で過ごす事で体感できる価値やベネフィットをいくつか見つけます。

この価値は、どの自治体や地域も少しずつそれぞれ違うと思うのです。

 

そして、この価値のうち、何を伝えれば人は足を運びたくなるのか?

英語で言うとWhat to say の部分をいくつか見つける作業をします。

その地域の特徴的かつ根本的な性質で魅力的な部分を、受け手目線(観光検討客や移住定住検討者)で

吟味する作業です。

 

 

コアになる地域ブランディングのコンセプトは

「ほんとうの自分に気づく場所=自分が自分らしくなれる場所」

 

 

さて、今回の明日香村での企画の場合、

コンセプトを「ほんとうの自分に気づく場所=自分が自分らしくなれる場所」というものにしました。

そのコンセプトに至るディスカッション(ブレストとか言います)のプロセスをご紹介します。

 

まず私たちが現地で感じたのは「自分リセット」という感覚です。

 

明日香村は駅前にレンタサイクルがあり、多くの方がサイクリングを楽しまれます。

私たちが訪問した時も、目の前でサイクリングされている方がおられました。

 

サイクリングしながら、のどかな原風景を見たり遺跡やお寺を拝観したり、

スイーツを食べたりしている内に徐々に自分がリセットできる様な空間というイメージです。

 

「自分リセット」に、明日香村ならではの特徴をどう付加してコンセプトをブラッシュアップさせるか?

更に考えます。

 

明日香村の特徴は、日本の故郷と言われるくらい、そののどかで穏やかな雰囲気がある事です。

そこでこの特徴を加味してディスカッションする中でこんな話が出来てきます。

 

「例えば東京で一人ぐらしをして働いている20代女性が、久々に田舎のおばあちゃん家にいく機会があって、

数日過ごすと自然と何かに気づいて自分らしくなって帰京する。ってこと結構あるよな。」

という考え方です。

 

「明日香って、村全体がおばあちゃん家」みたいな場所じゃない!?」といった視点です。

 

それで「おかえり。」というコピーを一旦考えます。

 

おかえりビジュアルイメージ

 

 

そこからもう一歩進めてブレストします。

 

普通、住んでいる家に帰って、誰かが「おかえり。」と言ってくれて、

翌朝「行ってきます。」というまでに「何かに気づく」って事少ないよね、と。

 

でも明日香は、過ごしている内に徐々に、

「本当の自分に気づける」所が本質的な魅力なんじゃないかと、ディスカッションを進めます。

 

しかも、何十日も座禅を組み厳しい修行をして悟りをひらく、といった気づき方ではなく、

まさにおばあちゃん家で数日過ごしたら自然と気づき自分らしさを取り戻す、的な場所。

それは何でだろう?と更に深堀りします。

 

地域ブランディングにおいて、その土地のコンセプトをビジュアル化します。

 

次の図の様な考え方です。

 

 

これはユングという心理学者が考えた心の構造図に、

京セラ、KDDI創業者でJAL再建を果たした稲盛氏の考えた概念を付加したものです。

 

人間の心の構造の一番外側に「知性」があり、

その内側に「感性」その次に「感情」その更にうちに「本能」があり

一番奥に「SELF」本当の自分=真我 があるというものです。

 

この図の様に、明日香村での滞在では例えば歴史探索をする事により「知性」が刺激され、

ノスタルジックな原風景を体感する事で「感性」が揺さぶられ、

飛鳥時代に遡る歴史遺産(本物)に触れることで「感情」に訴えかけ、

アクティビティで汗を流したり土地の美味しいものを食べる事で「本能」を活性化させる。

 

しかも、ストイックな感じで「SELF」に近づくのではなく、

まさにおばあちゃん家周辺でブラブラしている内に「ふと、気づく。」「気づける。」

そのためのリソースが揃っている場所ですよ!明日香は!

というメッセージです。

 

飛鳥時代というと、今から1400年以上前です。

私たちの祖先は30代程さかのぼると1億人程いるらしいですね。

 

その事を考えると、私たちの祖先がこの土地で過ごしていた可能性は大いにあります。

それがwikiで「日本の故郷」私たちが「村全体がおばあちゃん家」と考える理由かも知れません。

 

こういった1人ブレストやチームディスカッションにより、

明日香村だからこそ言える本質的な価値(コンセプト)が決まってきます。

 

ここまでの作業が出来れば、ではこのコンセプトは受け手にとって、ちゃんと「贈り物」になるものか?

確認作業をします。やはり地域ブランディングも自己満足ではなく、

それを伝えたい相手が主となるものでないと機能しません。

 

 

明日香村は、実は星野リゾートが建設、オープンする事が決まっています。

今はウィズコロナの時代でインバウンド観光客は少ないですが、

アフターコロナのインバウンド向け観光戦略も意識する必要があります。

 

「故郷」だけは海外展開しにくいコンセプトだったため、

「本当の自分に気づける空間」「自分が自分らしくなっていく地域」は

グローバルインサイトでもあると判断し、

このブラッシュアップコンセプトで展開する事にしました。

伝える相手を決めて、伝える表現を考えて、

伝える手段を検討する。

 

コンセプト、軸の部分が決まったら、次は伝える相手を決めます。

 

本来は伝える相手を具体的に決めてから(ペルソナ設定)、伝える表現を決めるのですが、

今回のオリエンテーションでは主に5分類のターゲットにそれぞれの表現で伝えてほしい、

というものでしたので、ある程度伝え手を大まかに設定してコンセプトを決めた後に、

具体来な分類ターゲット毎への表現(How to say)を考えるという進め方にしました。

 

伝える手段は、そのターゲット毎に分ける必要があります。

 

例えば長期滞在希望の70代シニアはTIK TOKやインスタから情報を集める事は少ないでしょうし、

逆に30代都心部在住ОLでSNSで定期的に発信する人にはそれが効果的な場合もあります。

観光コンセプトプロモーション展開例

 

明日香村の地域ブランディング企画の場合は、

それぞれのターゲットに向けて、それぞれの表現と伝える手段を提案しました。

観光コンセプトビジュアルデザイン

地方創生と地域ブランディング

 

ここまで読んで頂いた方、ありがとうございます。

今回は奈良県明日香村の地方創生案件、地域ブランディングの進め方について

実作業をした内容を基にお伝えしました。

(実はこの案件プロポーザルコンペで、僅差で及ばなかったのですが、

地域ブランディング事例の制作工程開示という事で書いています)

 

日本の出生数は90万人を割り年間80万人に近づいています。

確実に子どもが少なくなり、高齢者が多いという今までかつて経験した事がない構造になって行きます。

新型コロナウィルスが蔓延し、テレワークや在宅勤務、地方移住の流れがあるとはいえ、

日本の地方は働き手が少なくなって行くのでしょう。

 

この状況を解決する一つの策が地方創生であり、

そのためには日本の地域が魅力的である事をしっかりと伝える必要があります。

 

明日香村は、今後星野リゾートがオープンしたら更に脚光を浴びるでしょう。

 

星野リゾートさん、明日香村に建設して頂いてあざーす!!助かります!!スポットライトが当たります!!

なんて他力本願的な考えではなく、

もっと主体的に日本の地方を、地域ブランディングを積極的に行って行きたいと思います。

筆者紹介

吉岡寛人

古民家クリエイティブオフィスZen代表。 プロデューサーとして動く事が多く、中小企業の経営課題を理解しながら、経営的視点でのコンセプト立案や各種クリエイティブ提案を得意としています。中小企業や公共団体、大手鉄道会社等の販促企画・広報・集客実績多数あり。 趣味は山登り。 休日は3人の子どもたちと遊んでいます。 日本経営士会認定経営士